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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第32章 焦がれる身体
──…
一刻後、明け方の王都ジゼル。
円形広場の石畳に倒れたふたりを、仕入れに出てきた商人達と、店の亭主が発見した。
「誰だ?」
「この方は……バヤジット将官じゃないか!抱いてる女は……いや男か?…っ…酷い怪我だぞ」
「医者に連れてったほうがいいんじゃないか??」
道の真ん中で力尽きたらしいそのふたりは、息をしているので生きてはいた。眠っているのか?
何が起こっているかわからないまま、人々が慌てるだけで時が過ぎていく。
....
「──…どけ」
そこへ、数人の男達が近付いた。
その装束は街の者ではない。
突如現れた男達は倒れた二人を囲うように立ち、静かに見下ろした。じろじろと観察する目付きは、彼等が二人の味方なのか敵なのか…判断できないものだった。
彼等が見ているのは、大柄な男に庇うように抱かれ、羽織らされた服の中で眠っている美しい青年だった。片腕は失い、他方の腕には手枷がはめられている。
「こいつが、そうだな」
すぐさま男達は、抱かれた青年をバヤジットから奪って肩にかついだ。
そして周囲の見物人を押し退け、広場をあとにし姿を消した──。