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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第46章 後書き
《 だったら約束してくれよ?
何が起ころうとこの国を守ると 》
仲睦まじい兄弟の…ささいで微笑ましいやり取りが、シアンを王宮へ呼び戻しました。
《 俺をひとりで……戦わせるなよ 》
ただ、愛する兄を孤独にしないために、それだけのために血を吐く覚悟で戻ったのです。
そんなシアンにとって物語の結末は残酷で、何ひとつ報われないものだったでしょう。
この報われなさにぴったり合うと考えたのが「復讐」というテーマでした。
シアンに付き纏うさまざまな思惑……
それらを跳ね除けて突き進む、強く美しく、賢く、危険な香りのする主人公を描きたかった。
そんな主人公に魅せられて、彼を想って苦しむ男を描きたかった。
秘密を抱えて戦い続けた主人公が、最後、大切な物を失いからっぽにされた状態で……
自分の感情をさらけ出し、苦しみを吐き出すシーンを描きたかった。
…こんな意地の悪い作者のせいで、悲しい結末になってしまいましたが
バヤジットも、オメルも、ヤンも、彼らなりの方法でシアンに愛を託してくれました。本当に彼らは、作者の想定をはずれたことばかりしてくれて、お話の中で生きていました。
戸惑いますけれど、嬉しい瞬間です。
彼らの想いが孤独なシアンを包んでくれればと願います。
ありがとうございました。
____弓月 舞