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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
 生涯を共にする伴侶にと望みながら、嘉門は、まだこの少女のことを何も知らない。
 知り合ってふた月、十日に一度、立ち話をする程度の間柄にすぎなかったのだ。
 嘉門は俄に焦りにも似た想いを感じた。
 と、お都弥が微笑んだ。たまにお都弥が見せる、少し哀しげな微笑だ。
「私の父と母は亡くなりました。亡くなったのは二年前、私の実家は青海屋(おうみや)といって、日本橋で海産物問屋を営んでおりました」
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