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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
 青海屋夫妻の娘はまだ当時、十四、少々のの借財もあって店を閉めざるを得ない仕儀となった。借金は身内の者たちが集まって返済はしたが、到底、店を続けてゆけるような状態ではなかったのだ。
 その後、残された娘がどうなったかまでは知らなかったが―。数代続いた老舗の突然の店じまいは、江戸でも結構な噂になったものだった。だが、その忘れ形見である娘の消息など気に掛ける者は誰一人としていなかったのだ。
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