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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
―俺には、本当にお前がすべてだったんだ。
 はにかんだような笑顔、時折見せた淋しげな笑顔、お都弥の様々な顔が風車のように脳裡でぐるぐると回る。
 お前の言うように、一日一日大切に生きてゆけば、いつか本当に良いことが起こる―、そんなものなのか?
 嘉門は花やの前に佇み、固く閉ざされたままの板戸を眺めながら、心の中でお都弥に問いかける。
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