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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第2章 壱
 学問より武芸を好んで外を駆け回って育ったせいか、精悍に陽灼けした膚は野性味を滲ませ、男前といっても父のような繊細な貴公子然とした風貌ではなかった。また、気性も父のものを受け継いでいれば、もう少し物腰も柔和であったろうが、その気性の烈しさは並ではない。これもまた、母からしっかりと受け継いでしまったものだろう。その癖、瞳だけは醒めているから、外見は冷静沈着なのだと誤解されがちだが、そんなことはない、嘉門は自分の性格が例えるなら焔のようなものだと自分で判っていた。
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