この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
父の不幸が母との結婚に起因したのは紛れもない事実だ。が、今になって、そのことで母を責めたとて、何になろう。
母は思えば、不器用な女なのだ。父を愛しながらも、気位の高さゆえに素直になれず、己れの感情表現が上手くできなかった。また、そんな母を愛せず、他の女に心の安らぎを求めた父をも責めることはできまい。
なのに、母を心ない言葉で罵倒してしまった。父にも捨て置かれた哀れな母にとって、息子の自分だけがたった一つの生き甲斐であるのに―。
母は思えば、不器用な女なのだ。父を愛しながらも、気位の高さゆえに素直になれず、己れの感情表現が上手くできなかった。また、そんな母を愛せず、他の女に心の安らぎを求めた父をも責めることはできまい。
なのに、母を心ない言葉で罵倒してしまった。父にも捨て置かれた哀れな母にとって、息子の自分だけがたった一つの生き甲斐であるのに―。