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12歳年下の彼とバレンタインする話
第9章 ネイチャースタジオ
何か魔女が大鍋で
ぐつぐつと煮て作る
毒薬の材料みたいな見た目の。
グロテスクな…何かが
水槽の中に展示されているのだけど。
……まさか…こんな
小さな水族館で…初めましての
生き物と遭遇するとは思って無くて。
置いてある椅子に座って、
彼と一緒にその毒でもありそうな
その生き物を見ていると。
『シーアップルって言うらしいですよ』
直訳すれば海のリンゴだが、
こんな毒々しいリンゴは…ヤダな。
『えっと…別名が、アデヤカキンコって
キンコって言うのは、金庫じゃなくて。
ナマコの仲間…みたいですね…』
「魔女の薬の材料にしか見えないけど…」
『サポニンって毒があるらしいですよ…?
まぁどう見ても毒あるよ、って
見た目してますもんね、コレ…』
その他にも…チンアナゴの
視点になってチンアナゴが
見れる…穴があったりとか。
カーペット敷きになっている部屋に
水槽が幾つかあって、靴を脱いで
地べたに直接座って、
好きにハリセンボンや、
ミズクラゲを見れるエリアがあったり。
その他にも…鯉の餌が売っていて
鯉にエサやりを出来たりとか。
愛らしい姿で人気者の
コツメカワウソの兄弟が居たりとか。
普通の水族館の様に、
一方通行の順路ではなくて
各エリアを行ったり来たり出来るから。
さっきは混んでたから、見れなかったなって
水槽を…後から見に戻ったりとか。
理科室の準備室の様な壁面に
作り付けの棚がある部屋に、
カエルが展示されていて。
作り付けの棚のガラス戸の
向こう側にも水槽が置いてあって。
昔…クラスのプリントとかを
生物の先生に届ける為に入った
理科準備室の…あの…普段
入る事が出来ない…特別な場所感に
大人なんだけどワクワクしてしまう。
その研究室…みたいにも見える
理科準備室の所には、
ドクターフィッシュと
良く呼ばれているガラルファが居て
自分の手の角質を…食べて貰える
ふれあいコーナーもあったりして。
その奥には…、水琴窟があって
座ってゆっくりとその音色に
癒やされる事が出来る、
大人向けの…落ち着いた部屋があって。
しばらく…そこで…、
彼と一緒に並んで座って
水琴窟の…音に耳を傾ける。