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生贄の 人妻
第15章 3月15日
急行に乗り 次の会社に入ったのは午後5時を
過ぎていた 慌ただしく名刺を交換して 
軽い打ち合わせの後 駅へタクシーで向かうと
また急行に乗り 久我の用意したホテルへ向かう

「 今日 予約したホテルで 旨い物喰う積りだった 」
2缶目のビールを口にして 駅弁を食べている
麻衣を森は缶を傾けて 独り言の様に呟いた

「 駅弁好きですよ 」
急行に乗る前に買った 駅弁に箸を付け 
走り去る窓の外を見る 陽の落ちた郊外は
明かりも無く 線路を並行する道路の街灯の
明かりが 道路を照らして 時々ガソリンスタンドや
コンビニの 明るい光が浮かんでいた

窓に映る 自分の姿を見た時 拓哉の顔が浮かび上がる
今夜は 久我と・・・・ 腹の出た ギョロ目の姿を
思い浮かべ 前に座る森に視線を合わせると
歪な光を浮かべ ビールの缶を傾け 麻衣を見る目と
重なった きっと明日は・・・・
短いスカートから覗く ストッキングに包まれた足を
僅かに動かしていた
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