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第7章 2024年3月17日日曜日

　10

「わ、わたしが、いや、わたしがズルいのは…分かってはい、いるんです…」

　そして彼女、Мは、自身のその悔しさの要因であるであろう思いの丈の心の慟哭を…
　わたしに吐き出してきたのだ。


「わ、わたしはズルいんです…
　和哉さんを、ううん、和哉の事が好きでたまらなくて…
　いや、好き過ぎて…」

　それは和哉のＸツイッターの数行の呟きからも伝わってはきていたし…

「うん…でも和哉だって満更じゃないみたいじゃないの？」
　と、わたしは精一杯の皮肉を込めたつもりで返すと…

「ううんっ、いやっ、全然そんな事はないっ、無かったんです…」
　小さな悲鳴の如くに言ってきた。
　
　そして…

「和哉は、和哉のアタマの中にはいつも、常に、ゆ、悠里さんの事が、ううん、いっぱいで…」

「…………そ、それは……」

「仕事中だって、それに私と食事していたって…
　そ、それに…あ、あの、わ、私を抱いてくれた時だって………
　ううん、いつもアタマの中には悠里さんの姿、存在感が…
　私の事なんて見てくれていなくって…」

「…………………」
　さすがに返す言葉が無かった。

「あの時だって…
　私を抱いてくれた夜だって…
　本当は、本当にイヤイヤで、私の無理矢理な勢いに仕方なくって感じで…」

　それはいつ？…
　あの出張前の音信不通の前後の頃？…

「で、でも、あの夜までは本当に和哉が誰の事を想い、見つめていたのか分からなかったんですが………」

　あの夜までが？…

「でも、でも………あの日………
　わ、私は………」

　そして彼女は衝撃的な事実、本当の事であろう…
　を、話し始めてきたのだ。

「わ、私は仕事中に…」

　……でも、それは、ある意味、理解、いや、同情もできるかな……