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The Bitch (ザ、ビッチ)
第7章 2024年3月17日日曜日
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「でも、でも………あの日…わ、私は……
 わ、私は仕事中に……」

 そして彼女、麻耶さん、いや、Мさんは衝撃的な事実、本当の事であろう…
 を、話し始めてきたのだ。

「わ、私は仕事中に…あ、あのぉ……」


………スマホを、うん、はい、和哉のスマホを拾ったんです。
 正確には仕事が残業となって、19時過ぎでした………

 それは3月11日、つまりはわたしが最後に逢った次の日で、Xツイッターが途絶えた日。
 
………その和哉の拾ったスマホは、私にとっては禁断の存在でした。
 そもそも和哉の存在を男として意識し始めたのは、3年前に入所してからでした………

 彼女は大学卒業後、都内で就職し、その後退職と同時に帰省をし、この市役所に途中採用されたそうで…
 わたしは知らなかったのだが、和哉も同じ様に、再就職としての途中入所での彼女との同期入所なんだそう。

………それに和哉とは高校時代からバスケ関係で知っていたし、なにより私は帰省前まで東京に彼氏がいて別れて来たから、その入所最初から男として意識しちゃっていたんです。
 だけと課が違うんで中々接点が無かったんですが、昨年から同じ課になってようやく近づけたんです。
 でも、仲良くなって、あ、仲良くなればなるほどに、オンナの勘が和哉の影に彼女がいるみたいに感じられ、で、彼に訊いたら…
『彼女はいない…』
 って言うんですけど、私の勘が女の影を感知していて…
 だけど、彼は白状はしてくれなかった。

 でも私は同じ課になったし、積極的に和哉にアタックしようと決めて、攻めていったんです。
 そんなタイミングで…
 まさかの彼の禁断のスマホを拾ってしまった。

 そしてロックが誕生日入力で簡単に開いてしまった…

 恥ずかしいし、最低ですけど、覗き見してしまったんです…………

 大好きな男のスマホか気になる、気にする…
 それは女として当たり前の感覚だと思う。

 ロックが簡単に外れ、覗き見てしまう…
 それも仕方ないといえるかもしれない。

 わたしは迂闊にも彼女の想い、行動に同情してしまっていた。

 そしてそんな想い、思いは、年上の、元教師としての…
 わたしの仮面を被ったオンナとしての偽善の目、想いなんだとも思ってもいた。

 

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