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The Bitch (ザ、ビッチ)
第7章 2024年3月17日日曜日
 16

 いや、和哉を渡したくはない…

 突然、急に、そんなへそ曲がり的な、天の邪鬼的な、いや、本来の今のわたし的なそんなビッチ、クソ女の想いが心に湧き起こってきたのである。

「え、あ…」

 そしてそんなビッチな想いがわたしの目に浮かんだのだろうか?…
 麻耶さんは微妙にわたしのそんな心の変化を読み取ったようで、狼狽えた動揺の声を漏らす。

「どんな理由や流れがあろうともさぁ…
いいじゃないの、和哉に抱いて貰えたんだからさぁ…」

「あ、いや、でも、わ、私を抱いてくれた時の彼の心には、いや、心の奥には、ううん、目の先には私なんて全然写ってなんかなくって…」
 
 ………私を抱いてくれていた彼の心の中には、ゆ、悠里さんがいて…
 いや、まるで悠里さんを抱いて、愛していたみたいな………

「ふ、そうなの?」

「はい…」
 悲しそうに頷く。

「あ、あの時はわたしが生理中だったからなぁ…」
 と、そんな落ち込む麻耶さんを更に突き落とすかの様に、敢えてそう呟いた。

 だって、わたしの心の中の天の邪鬼なビッチなクソ女の想いがそう言わせてくるから…

「あ…あぁ……」
 そしてそんなビッチな嫌味が麻耶さんの心に刺さっていく。

「でもね、わたしと和哉はさぁ、本当にセフレな関係だしね…
 ただね、和哉が毎日でもしたいって煩いからさぁ、仕方なくさぁ、週2から3日ヤラせてるだけでさぁ…」
 それは半分本当で、半分ウソ、意地悪なビッチさ故の心の衝動からの言葉であった…
 なぜなら、最近は、いや、あの『能登半島大震災』の心の衝撃から癒えたわたしの心とカラダは、そして、オックンという高校時代の元カレとの偽りと詐りのニ夜を経て、和哉という存在感の重要さ、大切さを痛感していたからである。

「そ、それは…」
 そしてそんな和哉とわたしの逢瀬の頻度はXツイッターを読み解けば一目瞭然であるから…
 麻耶さんは更に動揺をしてきていた。

「もうさぁ、本当はさぁ、わたし的にはさぁ、週1か2日で十分なんだけどさぁ…」
 わたしのクソ女ビッチさが止まらない…
いや、止まらなく、抑えが効かなくなってきていた。

「いいんじゃん、アナタもさぁ、わたしの事なんかぁさぁ、気にしないでさぁ…
 もっと和哉とヤッちゃえばぁ…
 それにアナタはわたしよりうんと若くて魅力的なんだしさぁ…」








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