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The Bitch (ザ、ビッチ)
第7章 2024年3月17日日曜日
 33

「んん、んぁぁ、あぁ、和哉ぁ…
 ほ、ホント和哉は変態なのねぇ…
 こんなストッキングの爪先をしゃぶるなんてぇ…」
 と、わたしは隠れ、必死に聞き耳を立て苛立ちに身悶えをしているであろう麻耶さんへのメッセージとして、敢えて、そうコトバを発し…
 和哉に自らのストッキング脚の爪先を委ねていく。

 そして…

 あのスマホを紛失してしまったという和哉自身の紆余曲折あったであろう数日間の、そして彼自身のその日から今夜までの心のジレンマと、もう完全にスイッチが入ってしまったこの彼のストッキングフェチという変態嗜好の衝動は…
 もう止まる筈もなかった。

「あ、あぁ、うぅ…
 ゆ、ゆり、悠理さぁん……」

 ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ…

 と、激しく、執拗に、そして喜々とした愉悦の表情を浮かべてこのわたしのストッキング脚の爪先をしゃぶりながら愛の言葉を漏らし…

 ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ…

「あぁん、んん、ぁぁ、か、和哉ぁ…
 かずやの変態ぁぃ、そんなに夢中にストッキングをしゃぶるなんてぇぇ…」
 と、わざと、そしてこのある意味変態的なこの情景が分かり、聞こえる様にいつもと違って大きめな声で、いや、わたしは普段はそんな言葉は発さない、喘ぎを漏らすだけ…
 そう、わざわざ麻耶さんに伝える為に。

 わたしのビッチなクソ女の性根がそう言葉と喘ぎを発せさせるのだ…

「あぁん、んん、あぁ、和哉の変態ぁぃぃ…」

 聞き耳を立てている麻耶さんが、麻耶さんの心が…

 嫉妬とジェラシーで激しく心を掻き乱し、狂う様に…
 ワザとそんな大きな喘ぎ声を上げていく。

 そしてわたしはソファに持たれ、和哉にストッキング爪先を捧げ、身悶えしながら、和哉の後ろの閉め切った畳コーナーの戸の奥で、必死に聞き耳を立て、狂おしく心乱れているであろう麻耶さんの姿を想像する…

 和哉をタダで譲ったりはしない…

 わたしの和哉はそんなに安い存在ではないんだ…

 十分にペナルティを払ってもらうわ…

 ビッチなクソ女の心がそう囁いてくる…
 

 
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