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The Bitch (ザ、ビッチ)
第7章 2024年3月17日日曜日
 32

 そう簡単には譲れない、いや、譲りたくはない…
 和哉をあげる代わりにそれなりに代償を払ってもらわなければ…
 と、ザワザワと騒めかせながらそんなビッチでクソ女の衝動がそう心に囁いてきていた。

 だから…
「ほらぁ、コレが好きなんでしょう…
 このストッキング脚の爪先がさぁ…」
 と、和哉の目の前に、いや、彼の口先に、そして隠れ、必死に聞き耳を立てているであろう麻耶さんに分かる様に自らの右脚のストッキングの爪先を運んでいく。

 この奥底から湧き上がってきているビッチでクソ女の、そしてストッキングラブというメス女の性癖の衝動が…
 わたしの思考を支配しつつあり、命令をしてくるのだ。

 そしてもうその衝動の命令に抗う事が、いや、既にすっかり支配されているといえる…

「さぁいいのよ好きにしてぇ…
 わたしのストッキング脚の爪先の匂いを嗅ぎたいんでしょう?
 爪先を舐めたいんでしょう?」
 目の前の和哉を通り越して、後ろに隠れ様子の見えない麻耶さんに対してこのストッキングフェチというアブノーマル性癖嗜好のいわゆる変態的な心情と情景を分からせ、伝えるかの様に声を出しながら自ら爪先を伸ばしていく…

 ズキズキズキズキ…
 そして同時に自分の性癖衝動によりすっかり昂ぶりを疼かせてきてもいた。

 もうわたしは止まらない、いや、止められない…

「あぁ、ゆ、悠理さん…」
 するとそんなわたしの右脚を両手で敬うかの様に掴み、口元へと自ら動かし…
「うわぁ、ゆ、悠理さぁん…」
 そんな喜悦の喘ぎを漏らし、愉悦の笑みを浮かべ、その爪先に鼻先を当てて匂いを嗅ぎ、そして唇に含んできたのである。

「んんっ…」
 そんなストッキングフェチ特有な和哉の変態的な性衝動の唇の動きにビクンっと脚を震わせ、ストッキングラブなオンナにとっての愉悦の喘ぎを漏らし、震えてしまう。

 ピチャ、ピチャ、ピチャ…
 そして和哉は夢中になって、爪先をそんな淫靡な湿った音を立てながら、貪り、しゃぶってくる。

 ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ…

「んん、んぁぁ、あぁ、和哉ぁ…
 ほ、ホント和哉は変態なのねぇ…」

 こんなストッキングの爪先をしゃぶるなんてぇ…


 そう、この言葉は…
 隠れ、必死に聞き耳を立て…
 苛立ちに身悶えをしているであろう、麻耶さんへのメッセージでもあるのだ…


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