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The Bitch (ザ、ビッチ)
第4章 2024年2月19日月曜日…
 1

 わたしは午後7時半にオックンと再会の約束を、この隣街に鎮座する唯一大きなホテルの最上階のバーでの待ち合わせにしたのだ。

 なぜこのホテルの最上階のバーにしたのか?

 それはオックン、彼に、一昨夜のリベンジをさせてあげるつもりであったから…

 つまりは彼と未遂のセックスをするつもりであったから…

 なぜならば…

 あまりにも近寄ってしまった、ううん、いや、もう既に交わってしまったといえる和哉との関係に…

 そう、彼との距離感の間に、また再び、壁を作ろうというわたしの思惑があるからである。

 わたしは弱い、いや、もう完全に和哉を、和哉への強い愛情を自覚してしまったから…
 もうこうする以外に方法が無い、と考えたからだ。

 いや、わたしの弱さが、こうするしか無いと考えたのである…

 だけど…

 だけど、ただ簡単にまたオックンと寝れば、抱かれればいいという訳でもない。


 但し、それは、わたしなりの…

 わたしなりに…

 いや、わたしの中にある、ある程度のルールが、簡単なルールがあるのだ。

 果たしてそのルールをオックンがクリアできるのか?
 それ次第でもあったのだ。

 ううん違う…

 せめて、そんな簡単とはいえ、ルールを決めたかったのである。

 じゃないと…

 あの可愛い和哉に…

 わたしを真剣に愛してくれている和哉に…
 いくらなんでも失礼になるから。


「お待たせ…」

 わたしはワザと約束より約20分遅れにバーに着く…

 それは色々な意味でオックンを焦らす為…

「あ、ううん、全然だよ…

 そ、それよりも…」
  するとオックンはわたしがカウンターに座るや否やそう話し始めてくる。




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