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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第17章 懐妊
それから数ヵ月後…
圭子は女の子を出産した。
「圭子!よくがんばったな!」
今、新生児室で我が娘と対面してきたよと
準は興奮気味に出産を終えたばかりでグッタリとしている圭子の手を握りしめてこの世の春とばかりに満面の笑みを浮かべている。
「ありがとう、あなた…
すっかりパパの顔になっちゃって私も嬉しいわ
でも、出産を終えたばかりで疲れているの…
少しやすませて頂戴」
圭子の手を握りしめて
ブンブンと振り回す準の手を姑の瑠璃子がやんわりと引き離す。
「そうよ、圭子さんはね女として大仕事をやり終えたばかりなの
少しは休ませてあげようという気配りはないわけ?」
出産経験のある瑠璃子は誰よりも圭子の大変さを知っていた。
「わかったよ…じゃあ、圭子、少し休むといいよ」
準が聞き分けよく引き下がったそのタイミングで
今度は久が圭子が出産したと聞いて出張先から駆けつけて病室に飛び込んできた。
「いやあ~、圭子!でかしたぞ!!」
静かになりかけた病室が再び賑やかになる。
「何ですか!あなたまで!
まるで自分の子が産まれたみたいな喜びようね」
浮かれる男たちの顔を見て
瑠璃子はうんざりするように嗜めた。
「そりゃあ、嬉しいに決まってるじゃないか!
だってそうだろ?俺たちにとっての初孫だぞ!」
それに本当は俺の子なんだからなと
声に出さずに心の中で久は叫んだ。
息子の準がおざなりとはいえ、ちゃんと圭子に中だしをしていたとも知らずにひたすらニヤニヤとにやけた。