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月の裏で会いましょう-revised-
第7章 陸翔と昴
それ以降私は兄を避け、山荘に帰らなかった。
仕事のあとは、職場の宿直室に寝泊まりして二日が経過した。
昴と会うのも、避けていた。会うのが怖かった。粘着質の兄に質問攻めにされて帰って行った昴は、私たち兄弟のことを異常だと思ったかもしれない。あれから昴が私を避けてもおかしくない。そう思うと怖くて、避けられる前に自分から避けてしまおうという心理がはたらいてしまうのだ。
本当は、昴に会いたい。兄のことなど気にしないで、ふらりと近くに来て欲しい。
レストランの閉店後、店に一人残った私は、そんなことを思いながら客席の床にモップをかけていた。
裏口の鉄扉が開く音に顔を上げると、客席に昴が現れた。ゆっくりとした足取りで近づいて来る。