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月の裏で会いましょう-revised-
第9章 幽霊
「初めて彼女ができて、昴とっても舞い上がってるの。電話くれた時もすごく浮かれててね。咲良さんおかげで昴、すごく明るくなったの」

以舞は私と昴に交互に笑顔を向けながら話した。昴にとって初めての彼女と言われて内心驚いていた。見た目も魅力的で人好きする昴にこれまで恋人がいなかったわけがないと思ったが、母親の前に連れてこられた最初の彼女であることは確かなようだった。昴の照れる横顔をそっと眺め、胸の内側が温かくほぐれるのを感じた。

スタッフの女性がお茶を運んでくれて、小さなテーブルを囲んでしばらくおしゃべりをした。話しながら、彼女のいったいどこが悪いのだろうと考えた。痩せていて色も白く、決して丈夫そうには見えないけれど、楽し気に話す以舞の雰囲気から、体の不調からくる弱々しさのようなものを感じることがなかった。私の前で無理をしているのではないか、と心配になった。
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