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月の裏で会いましょう-revised-
第12章 以舞の足跡
事前に電話口に出てくれた医療連携室という部署のソーシャルワーカーの女性が、明夜以舞について確認を済ませておいてくれた。

「個人情報だから具体的なことはお教えできないんだけど、その時の子が、元気に暮らしているということは確認できていますよ」

もう少し情報をくれないか、と食い下がると、産院のベテランの助産師の女性が退勤するところを引き留めてくれた。
以舞が出産したころにも勤務していたという古参のその助産師は、病院の中庭にある小さな芝生のベンチに座って、雑談だ、という体で話してくれた。

「明夜以舞さんね…覚えているわ。とてもきれいなお嬢さんだった。おなかを撫でて慈しんでいる日もあった。でも、不安で怯えているのを必死で隠しているときもあった。出産は、ほんとうによく頑張った。彼女が陣痛でここに駆け込んだのは年度末、三月三十一日の夕方。難産でね、翌日の明け方四月一日に生まれたのよ。母子ともに健康だった」
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