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月の裏で会いましょう-revised-
第5章 臆病風
深夜。

「フォレスト」から山道をくだり、中腹にある別荘地のログハウスにたどり着く。
砂利の敷かれたその前庭に、通勤用の軽自動車を停めた。

両親が別荘として購入したこの場所は、子供のころから陸翔と私のお気に入りの場所だった。

夏休みになるたび私たち兄妹はこの山荘に移り、休みの間を過ごした。東京で高校教師をしている両親は交代で学校に出勤し、私たちは父か母どちらかと一緒だった。

毎年通ううちに、この近隣の自然に囲まれた場所で働きたいと思うようになり、兄妹ともども、山頂から反対側の山肌一帯を所有する「鳥居リゾート」が運営する「フォレスト」に就職した。今はこの山荘で兄妹二人暮らしをしている。

山荘の玄関ドアをそっと開き、一続きになっているリビングにそろりと上がった。

昴と激しく抱き合った余韻がまだ体に充満していて、全身がとろりと重たかった。
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