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月の裏で会いましょう-revised-
第5章 臆病風
「咲良が恋に落ちた、って俺に言ったのは初めてだ。それだけの相手なんだろ?お前のすべてを受け止めてくれるような」
言われて私は、黙りこんだ。さっきまで舞い上がるような心地だったのに、突き落とされたような気分になって、ブランケットで顔を覆い隠した。
「話したのか?その男に」
「今そんな話題、やめてよ」
嫌なことを、兄は思い出させる。
「咲良、男にすべてを打ち明けるのが怖いんだろ。嫌われたらどうしようって」
私は何も言えなかった。兄の陸翔には、私の臆病心はお見通しだったのだ。
言われて私は、黙りこんだ。さっきまで舞い上がるような心地だったのに、突き落とされたような気分になって、ブランケットで顔を覆い隠した。
「話したのか?その男に」
「今そんな話題、やめてよ」
嫌なことを、兄は思い出させる。
「咲良、男にすべてを打ち明けるのが怖いんだろ。嫌われたらどうしようって」
私は何も言えなかった。兄の陸翔には、私の臆病心はお見通しだったのだ。