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第5章 臆病風

自分の体のことを打ち明けたら、きっと昴は引いてしまうだろう。そもそも、出会って間もないというのに、暗い過去を打ち明ける女なんて、重い女以外の何物でもない。私は昴の前でそんな姿を晒したくなかった。

「兄ちゃんの意地悪。付き合わなきゃいいんでしょ」

ブランケットをはいで体を起こし、衝動的にソファの前に置かれたローテーブルの上のリモコンを掴んで投げつけた。完全に八つ当たりだった。