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月の裏で会いましょう-revised-
第5章 臆病風
やっとの思いでたどり着き、運転席から降り、激しく降る雨を浴びた。
最悪な事態だった。こんなひどい雨が降る夜のけもの道を、どうやって帰っていいかもわからない。体は雨に濡れてしまった。
───あたし、何がしたいんだろう
メチャクチャな行動をして自暴自棄な状態に自分を陥れ、ぐったりとしながらも、心の奥はすうっと軽くなっていく心地がした。
雨は、ここで二人で抱き合った記憶を洗い流すように、勢いよく降り続いた。足元はぬかるんで、眼下のスカイパークの灯りも霞んで見えない。これで、この場所が新しい思い出に塗り替えられる。
柵の手前で下を見下ろしていると、背後から車のハイビームが足元を照らした。