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月の裏で会いましょう-revised-
第5章 臆病風
彼の心が離れてしまうのを覚悟して私は、本当のことを言おうと口を開いた。





五年前、休日の混雑する街道を原付で走っていた私は、交差点を直進した。右折しようとしていた乗用車が、私に気づかずに私のバイクの真横から突進してきた。

バイクと体が、空中に飛んだのが分かった。突き上げられた私は状況がつかめずに目を見開いたままでいた。目線の先で、宙に浮いたバイクが空中を旋回し、アスファルトに叩きつけられる。同時に私は地面へと墜落していった。

全身を強打する衝撃、骨が砕けるような痛み。

どこからともなく集まった人だかりに囲まれた。滴ってひろがっていく血だまりが、髪をベッタリと濡らす。自分が事故に遭ったのだと気づいた。
みんなが見つめる視線の先を見下ろした。

下腹部に、何かの破片が突き刺さっていた。直後私は、意識を失った。
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