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月の裏で会いましょう-revised-
第5章 臆病風
月はいつも地球に同じ面を向けて周っている、とどこかで聞いたことがある。

地球に決して見せないその裏側は、隕石の衝突に晒されてクレーターだらけだという。
傷をひた隠しにしてきた自分に、必死に自転して可愛いうさぎのシルエットだけを見せつけてくる月を重ね合わせた。ぼんやりとした光を纏った青白い惑星を見つめる。



───きっと昴はここに来る。

この展望スペースに来たとき、そう心のどこかで期待していた。でももし来なかったとしたら私は、酷く傷つく。だからこのささやかな期待が胸の中にあることを、自分自身認めるのが怖かった。

でも、昴が本当にここに姿を現してくれた今、全身全霊で昴の存在を欲していることを、認めざるを得ない。


昴の腕の中で体の向きを変え、顔を見上げた。

「これからは、俺がずっとそばにいるから」

昴の茶色い瞳が、微笑んでいる。その深く優しい色に吸い込まれるように、私は昴にキスをした。
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