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一夜限りでは終わりたくない
第1章 一夜限りの関係
ここは都内でも有名な高級フレンチのお店。
なんだかビジネススーツの私が場違いに感じる。
周りを見渡しても、セレブばかりが集まっているようだ。
「桜井さん、フレンチは嫌いだったかな?」
「い…いえ…ただ、こんな高級はフレンチは食べ慣れないので緊張します」
すると、この男はハッハッハッと明るく笑い始めた。
「桜井さん…いいや、奈々ちゃんは本当に正直で可愛い女性だね。緊張せずに美味しく食べれば僕も嬉しいよ。」
「ぶ…部長あの…」
その時、男は私の言葉を遮るように声を出した。
「社外で部長は止めて欲しいな…僕は、高柳 琢磨(たかやなぎ たくま)という名前だから、琢磨さんでどう?」
「それでは…高柳さんとお呼びしてよろしいでしょうか?」
高柳は少し不服な顔をしたが、頷いて了承した。
名前で呼ぶなんて、他社の部長に対して出来るはずが無い。
すると高柳は突然沈黙して私を見つめた。
高柳もかなりのルックスを持つ男性だ。
柔らかい感じのブラウンの髪と、少し色の薄いくっきりした二重の目元
どこか洗練された都会の男性という雰囲気を持つ。
そんな男性に見つめられたのだから、心臓がドクンと跳ねあがり、顔が熱くなる。
「ねぇ奈々ちゃん、これから場所を変えてゆっくり話をしない?」
断る私の腕を掴んだ高柳は、私の腰に手をまわしてエスコートするように歩き出したのだ。