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一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係
「藤堂副社長!お話があります。」
朝食が済んで、歩き出した藤堂副社長に声を掛けた。
すでに運転手が迎えに来ており、秘書が玄関で待っている。
「悪いが、もう出かける時間だ。車の中で聞くがそれでいいか?」
「は…はい。」
私は藤堂副社長を迎えに来た車へ一緒に乗った。
車に乗ると、秘書が今日のスケジュールを伝え始める。
聞いているだけで疲れそうな過密スケジュールだ。
秘書の話が一段落した時、私は声を出した。
「あの…藤堂副社長は、なぜご家族にあんなことを仰ったのですか?誤解されたらご自身もお困りになりますよね?」
すると、藤堂副社長はフッと小さく笑った。
「お前は住むところが出来るし、俺はあの人達のお見合い攻撃を断ることが出来る。お互いウィンウィンじゃないかな?」
「そんな…藤堂副社長のところに住まわせてもらうなんて、少しの間でもご迷惑をかけ過ぎです…それは出来ません。」
藤堂副社長は少し沈黙して何かを考えていたが、思いついたように私の方を向いた。
そして、同乗している秘書に聞こえないよう耳元に顔を近づける。
さらに見えないように私の耳たぶに舌を這わせて甘噛みをする。
ふいに与えられた刺激に肌が粟立つ。
「たまにお前を抱かせろ…家賃代わりだ、悪い話じゃないだろ…昨日も自分から俺を煽っていたしな…」
「っな!何を言うのですか!」
真っ赤になる私を楽しむように、楽しそうにクックッと笑っている。
この男はどこまで本気なのだろうか。