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一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係

「…翔也さん…もっと…欲しい…」

自分が声にしてしまった言葉に驚いた。
こともあろうに、翔也の名前を呼んでしまったのだ。

静かな部屋の中に響いた声だが、どうか隣の部屋に聞こえていないことを願うしかなかった。

しかし、残念なことに私の願いはかなわなかったようだ。

少しして、部屋の奥にあるドアからカチャっとドアが開く音がしたのだった。

私は慌てて深く布団をかぶり、もぐって隠れた。

足音が近づいてくる。
恥かしさと、どんな顔をして良いか分からず、私は布団の中でぎゅっと目を固くつぶる。

するといきなり、顔に被っていた布団を勢いよく下げられてしまった。
驚きと戸惑いで目を開けることが出来ない。

「奈々…今、俺の名前が聞こえたが、何をしていたのかな?」

私は大きく首を振ることしか出来なかった。
翔也は私の右手首を掴み、右手に顔を近づけた。
そして次の瞬間、私の指を口に入れて指を舐めたのだ。

驚いた私が目を開けると、少し意地悪な笑みを浮かべた翔也がそこに居た。

「奈々の指、甘くてエッチな味がするけど、どうしてだろうね。」

私は顔から火が出るくらい頬が熱くなる。

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