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家庭教師のさよ子先生 誘惑のノースリーブ
第8章 ABC4 みんなの同窓会
 万二郎くんは私の右手を優しく取ると手の甲に軽くキスをして、そのままあきとくんに代わって私の手を引いて歩き始めます。

 ホテルの1階に入っている高級中華料理店では身なりの整ったお客さんが円卓を囲んでいて、奥の方にある円卓では身長180cmはありそうなスーツ姿の巨漢が私とあきとくんと万二郎くんを手を振って待っていました。

 私が緊張しながら近寄ると彼は椅子から立ち上がって優しく私の身体を抱きしめ、私は人前なので少し恥ずかしく思いつつも彼の身体を抱きしめ返してスポーツ刈りの頭を右手で撫でてあげました。


「さよ子先生、会いたかった……。俺、あれからずっとさよ子先生に会いに行きたかったんです。でも、ちゃんとお医者さんになることにしたさよ子先生を邪魔したくなくて……」
「よしよし、さよ子先生はいつまでもチアキくんの先生ですよー。会社のお仕事は楽しいかな?」
「ええ、営業の仕事頑張ってます。いつかは実家を継ぐかも知れませんけどね」

 私が同志社大学商学部への合格を見届けた|千倉《ちくら》|智明《ちあき》くんは大学卒業後は大阪府内に本社を置く総合商社に就職し、ラグビー部で鍛えた体力とコミュニケーション力を活かして27歳の今は営業マンとして活躍しているそうです。

 社会人としても一人前ということで今日の同窓会の費用はチアキくんが一番多く払ってくれていて、主賓である私は一円も出していないので今日は教え子たちの厚意に感謝してこの身を差し出そうと思いました。
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