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浦島太郎×BestEnding
第2章 乙姫と浦島太郎
太郎は乙姫の柔らかな感触と微かな果実の香りのする髪の匂いによって乙姫が自分に寄り添っているのを感じました。

涙を流さぬ乙姫の顔は太郎に目に映っていませんでした。

『姫…』

「母が待っておりますゆえ…」

太郎の目も涙で潤っていたのです。乙姫の可憐な姿を見ても帰らなければいけないと思うと切なさで思わず泣いていたのでした。

「本当にお優しい方なのですね。では、せめて一杯だけのお酒を注がせて下さいまし」

乙姫の涙が一粒だけ大粒の涙を流しました。

『かつて…父上が女の泣かすな、女に恥をかかすなと言っておったが…。』

『母上も乙姫様も最愛でございまする…どっちも取れん…』

『一杯の酒を飲んでしまえば長居するは目に見えている…』

太郎は悩みました。

「お酒はお好きでないのですか?」

乙姫は涙目で且つ上目で太郎に問う。

「お酒は苦手でございます…」

太郎は上空を見据え言いました。
コレは嘘で太郎は飲まない酒の味と触れたこともない若い娘に興味があったのです。
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