この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君とメメント・モリ
第22章 終章
凛の瞳に、涙の薄膜が張っている。
病室の照明を受けて、小さな湖面のように瞳の光を揺らしながら、凛は、じっと天井を見据えていた。
唇は今も可憐な桜色だが、以前のようなふくらみはなく、表面の皮膚は乾いて立て皺が目立ち、ところどころひび割れている。
頬の肉も削げ落ち、ちりめん皺の薄い皮膚が肌が骨の上に一枚かぶさっているだけだ。
髪は白く、耳の上までの長さで切りそろえられている。毎朝櫛で整えてもらってはいるが、洗うのは週に一度がいいところだ。
「おはよう」
スーツ姿の男が、病室の白いベッドに横たわる凛に近づき、白い枯れ枝に似た手を取って両手に包む。凛は目を丸くしてから、眉をひそめた。
病室の照明を受けて、小さな湖面のように瞳の光を揺らしながら、凛は、じっと天井を見据えていた。
唇は今も可憐な桜色だが、以前のようなふくらみはなく、表面の皮膚は乾いて立て皺が目立ち、ところどころひび割れている。
頬の肉も削げ落ち、ちりめん皺の薄い皮膚が肌が骨の上に一枚かぶさっているだけだ。
髪は白く、耳の上までの長さで切りそろえられている。毎朝櫛で整えてもらってはいるが、洗うのは週に一度がいいところだ。
「おはよう」
スーツ姿の男が、病室の白いベッドに横たわる凛に近づき、白い枯れ枝に似た手を取って両手に包む。凛は目を丸くしてから、眉をひそめた。