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君とメメント・モリ
第4章 侵入者
男は唸りながら凛の腕をつかみ上げ、ビル風にあおられて揺れる身体を引っ張り上げた。

手すりに胸とお腹をこすりつけながら、ベランダの床になだれ込むようにして引き戻された凛は、男の長い腕に抱きしめられ、そのがっしりとした胸板に頬を着けた。

男の顔を見上げるが、会ったこともない男だ。

「ああ、俺はなんてことを」

男は凛々しく整った眉をひそめ、舌打ちをした。
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