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君とメメント・モリ
第5章 変態
「言わなきゃダメですか」
「名前が分からなければ呼びようがない」
「呼ばなくていいですから」
そこに、外廊下を歩く誰かの足音が聞こえた。ハッとしてドアを開け、隙間から外を覗き見ると、立っていた男の肩越しに、シャカシャカとウインドブレーカーを鳴らしながら大股で男が歩いてくる。デリバリーの配達員だった。
大きめのリュックを背負った配達員は立ち止まり、男の肩越しに凛の顔を見るなり笑顔を作った。
「涼風凛さんですか、ご注文のお料理のおとどけです」