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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第16章 番外編 ~水辺の離れ Calme~
『ちょっと…休んだら…中行こか?
今度は…あっちで…一緒に遊ぼな?』
そう…この戯れは…遊び……、
直哉様は…私を毎日の様に
抱いて…愛でて可愛がって遊んでいるのだ。
もっと…可愛い子が…現れたら
私は…捨てられてしまうのだろうか…。
そんな事が…ふと…頭の中をよぎる。
直哉様に毎日愛でられて
何度も何度も絶頂を味わっている
私の身体は…直哉様のお言葉の通り、
直哉様でしか満たされないのだろう。
『どないしたん?一花ちゃん』
そんな日が…いつか来るのか…と…。
そんな不安が…自分の胸の中で、広がる。
この…直哉様が…与えて下さる
トリカゴの様な…小さな世界が、
今の私の…世界の全てになっている…。
そして…私は…、
この…トリカゴ暮らしが…
心地良いと…感じてしまっている。
「いえ…なんでもありません…」
『あ、でも…いつでも入れる
温泉があるんやし、温泉入ろうや』
行こ行こと…言うと…
もう…ここで浴衣を全部脱いでしまって。
全裸になって中に入って行くので、
私は慌てて自分の浴衣の前を直して、
直哉様が脱ぎ捨てて行った
浴衣と丹前帯と下着を回収して
お風呂場に向かって行った
直哉様を追いかける。
『何しとんの~?一花ちゃん、
はよ、こっちおいで~』
自分の所為で私が遅れているのに、
そんな事には全く構う様子もなく
お風呂場から私を呼んでいて。
直哉様のマイペースな振る舞いは…
何一つ…変わる事もないけれど…。
「い、今…参ります…ッ」
『はよせな、一花ちゃんが
来る前に、俺、風呂上がってまうでぇ~』
遅いと文句を言われながら
一緒にお部屋の温泉に浸かって。
『この風呂半露天やから、その窓開けようや』
窓を全開にしても…、真夏だから
寒いと感じることもないし…、
波の音と温泉が絶え間なく注がれる音を
一緒に聞きながら温泉を愉しめる。
『やっぱ…ええトコやろ?』
「ええ、本当に…素敵なお宿ですね…」
『また、来よな?カルム』
「はい…その時はお供致します…」
こうして…私と直哉様の
久美浜での夜は更けて行った。
カゴノトリ番外編 ~水辺の離れ Calme~
ー終わりー