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淫夢売ります
第14章 間章:You’re My Hero・・・後日談
☆☆☆
御笠記念病院循環器病棟。
患者カードには「加賀美涼」とある。
酸素マスクが定期的に息で曇る。胸や手足についたセンサーが周囲の機器につながっており、心電図や脈波計が定期的な電子音を鳴らす。
ナースが点滴の速度を確認し、出ていった。
この子が倒れてからすでに1週間が過ぎようとしている。未だに目が覚める兆しはないようだ。
「ああ、加賀美さん、いらしていたんですね」
病室に主治医である神楽先生が入ってきた。背が高く、なかなかのハンサムである。ハーフなのか、目の色が青いのがとても特徴的だ。
「先生、息子の病状はどうなのでしょうか?」
手慣れた様子で聴診器を胸にあて、周囲の機器をチェックする。
「ええ、残念ながら思わしくはないですね・・・。目が覚めない原因が特定できない以上、もうできることがない、というのが実際のところです。すぐに命の危険があるわけではないので、明日からは一般病棟に移ることになります。」
「そんな・・・。」
私は息を呑む。処置なし、ということは、涼はずっとこのままなのだろうか?
小さい頃から手がかからず、教員になる、という夢をかなえて、順調に働いていたとばかり思っていたのに。勤めている学校の教頭に勤務時間が長いのではないのか、と詰め寄ったが、皆と同じくらいだと簡単に言われてしまった。
証拠もない以上、これ以上食い下がることもできない。
そして、食い下がったとしても涼が目覚めるわけでもない。
ただ・・・眠っている涼の顔が穏やかで幸せそうなのだけが救いだろうか。
なにか、良い夢を見ているのかも知れない。
ふと、枕元にあるカードに気づいた。縦長の、まるで西洋風の栞のような、タロットカードのようなカードだった。
中央にうっとりと恍惚の表情を浮かべる男性が立っている。その周囲を3人の妖精が飛び回っている。まるで3人の妖精が中央の男性を祝福しているようだ。見覚えがないカードだった。
「このカードは?」
思わず尋ねると、神楽先生はニコリとわらって答えてくれた。
「ああ、加賀美さんが倒れられたときに持っていらしたようです。お守り代わりかと思い、枕元にこうして貼っておいているんです。
先日いらしたときはまだ集中治療室でしたからね。でも、その時も枕元に実は置いてあったんですよ。」
御笠記念病院循環器病棟。
患者カードには「加賀美涼」とある。
酸素マスクが定期的に息で曇る。胸や手足についたセンサーが周囲の機器につながっており、心電図や脈波計が定期的な電子音を鳴らす。
ナースが点滴の速度を確認し、出ていった。
この子が倒れてからすでに1週間が過ぎようとしている。未だに目が覚める兆しはないようだ。
「ああ、加賀美さん、いらしていたんですね」
病室に主治医である神楽先生が入ってきた。背が高く、なかなかのハンサムである。ハーフなのか、目の色が青いのがとても特徴的だ。
「先生、息子の病状はどうなのでしょうか?」
手慣れた様子で聴診器を胸にあて、周囲の機器をチェックする。
「ええ、残念ながら思わしくはないですね・・・。目が覚めない原因が特定できない以上、もうできることがない、というのが実際のところです。すぐに命の危険があるわけではないので、明日からは一般病棟に移ることになります。」
「そんな・・・。」
私は息を呑む。処置なし、ということは、涼はずっとこのままなのだろうか?
小さい頃から手がかからず、教員になる、という夢をかなえて、順調に働いていたとばかり思っていたのに。勤めている学校の教頭に勤務時間が長いのではないのか、と詰め寄ったが、皆と同じくらいだと簡単に言われてしまった。
証拠もない以上、これ以上食い下がることもできない。
そして、食い下がったとしても涼が目覚めるわけでもない。
ただ・・・眠っている涼の顔が穏やかで幸せそうなのだけが救いだろうか。
なにか、良い夢を見ているのかも知れない。
ふと、枕元にあるカードに気づいた。縦長の、まるで西洋風の栞のような、タロットカードのようなカードだった。
中央にうっとりと恍惚の表情を浮かべる男性が立っている。その周囲を3人の妖精が飛び回っている。まるで3人の妖精が中央の男性を祝福しているようだ。見覚えがないカードだった。
「このカードは?」
思わず尋ねると、神楽先生はニコリとわらって答えてくれた。
「ああ、加賀美さんが倒れられたときに持っていらしたようです。お守り代わりかと思い、枕元にこうして貼っておいているんです。
先日いらしたときはまだ集中治療室でしたからね。でも、その時も枕元に実は置いてあったんですよ。」