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淫夢売ります
第14章 間章:You’re My Hero・・・後日談
☆☆☆
カランカラン・・・。
モルフェの木製の玄関ドアに取りけてある来客を知らせる鈴が軽やかに鳴る。
この時間に帰ってくるのはカグラに違いない。
「おかえりなさい」
私が弄んでいたカードを机に置くと、カグラが暗幕の向こうから姿を見せた。やっぱり。
しかし、心なしかカグラの顔色が優れないように見える。
あーまたか・・・。
「カグラ・・・最後にご飯食べたのいつ?」
カグラがそのきれいな碧眼を斜め上に向けて考え込む。
「昨日の夜・・・かな?」
私は頭を押さえた。そういえば今日は忙しくてカグラに電話をしてやれなかった。カグラも忙しかったのだろう。病院からモルフェに来ることもなかった。カグラが勤める御笠記念病院はここから徒歩で5分もないのに、来られなかったのはたぶんそういうことなのだろう
「とにかく、何かを食べなさい」
「分かった」
大人しく従う。カグラは奥に行くと、私が用意しておいたサンドイッチを食べ始めたようだ。とりあえず一安心か・・・。
「ああ・・・そういえば、例の淫夢はどうだ?役に立ってるか?」
カグラがひょいと顔を出して尋ねてくる。例の、とは、加賀美涼のことだろう。
「ええ・・・とてもいいわ。濃厚だし。お陰で大分回復したわ」
そう、カグラが田島陽介のところから「救済」のカードを取り戻してくれた日、カグラはカードデッキからあるカードを持ち出したのだ。
そして、その夢に加賀美を誘った。
誘い方の詳細は聞いていないが、多分、殴りつけるかなんかして昏倒させた挙げ句、自分で119番通報して、自分の勤めている病院に救急搬送させたのだろう。
あとは、カードを枕元にでも置いておけば加賀美は勝手に淫夢に浸ることになる。
しかし、随分えげつないカードを選んだものだ。さっきまで弄んでいたカードを見る。
「恍惚とした表情の男性にまとわりつく三人の妖精」、甘美な罠を表すカードだ。
妖精の国に囚われたものはなかなか抜け出すことができないだろう。
彼が加賀美を夢に誘ってくれたおかげで、こちらの赤いカードを通じて私は十分な量の「欲望」を喰うことができた。お陰で体調も万全に戻っていた。
カランカラン・・・。
モルフェの木製の玄関ドアに取りけてある来客を知らせる鈴が軽やかに鳴る。
この時間に帰ってくるのはカグラに違いない。
「おかえりなさい」
私が弄んでいたカードを机に置くと、カグラが暗幕の向こうから姿を見せた。やっぱり。
しかし、心なしかカグラの顔色が優れないように見える。
あーまたか・・・。
「カグラ・・・最後にご飯食べたのいつ?」
カグラがそのきれいな碧眼を斜め上に向けて考え込む。
「昨日の夜・・・かな?」
私は頭を押さえた。そういえば今日は忙しくてカグラに電話をしてやれなかった。カグラも忙しかったのだろう。病院からモルフェに来ることもなかった。カグラが勤める御笠記念病院はここから徒歩で5分もないのに、来られなかったのはたぶんそういうことなのだろう
「とにかく、何かを食べなさい」
「分かった」
大人しく従う。カグラは奥に行くと、私が用意しておいたサンドイッチを食べ始めたようだ。とりあえず一安心か・・・。
「ああ・・・そういえば、例の淫夢はどうだ?役に立ってるか?」
カグラがひょいと顔を出して尋ねてくる。例の、とは、加賀美涼のことだろう。
「ええ・・・とてもいいわ。濃厚だし。お陰で大分回復したわ」
そう、カグラが田島陽介のところから「救済」のカードを取り戻してくれた日、カグラはカードデッキからあるカードを持ち出したのだ。
そして、その夢に加賀美を誘った。
誘い方の詳細は聞いていないが、多分、殴りつけるかなんかして昏倒させた挙げ句、自分で119番通報して、自分の勤めている病院に救急搬送させたのだろう。
あとは、カードを枕元にでも置いておけば加賀美は勝手に淫夢に浸ることになる。
しかし、随分えげつないカードを選んだものだ。さっきまで弄んでいたカードを見る。
「恍惚とした表情の男性にまとわりつく三人の妖精」、甘美な罠を表すカードだ。
妖精の国に囚われたものはなかなか抜け出すことができないだろう。
彼が加賀美を夢に誘ってくれたおかげで、こちらの赤いカードを通じて私は十分な量の「欲望」を喰うことができた。お陰で体調も万全に戻っていた。