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淫夢売ります
第15章 淫らな紋章:求める罪
「刑事さんとしての天音さんに話せることはここまでです。もし、お客様として、天音さんがいらっしゃるなら・・・素敵な夢をお売りできそうです」

ユメノがじっとこちらを見る。
初めて気づいたが、その眼は黒々と、あまりにも黒々としていた。
まるで、夜の闇を見上げているような不思議な感覚に陥る。

「今日は、まだお仕事中ですよね?あなたの心のなかにある、素敵な欲望を知りたいなら・・・またいらしてください。本日は8時まで営業しております」
ユメノは丁寧に頭を下げる。
どうやら、ここではこれ以上聞けることはないようだ。

私は吉井くんを伴って、モルフェを後にした。
「主任、どうでしたか?」
「うーん・・・尻尾を出さないね。河野もここでカードを買ったと言っているだけだし、特に決定的な証拠もない・・・こっちの線はちょっと難しいかな」
「そうですか・・・」

吉井くんは真面目な新人刑事だ。
私は初めての教育担当として彼の育成を任されている。
現場での聞き込みなどは私自身もまだまだというところはあるが、私に伝えられることは伝えていかなければならない。
しょうがない、刑事は脚だ。
次の聞き込みに行くとしよう。

それにしても「あなたの欲望に沿った素敵な夢」とは、どういう意味だろう?
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