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淫夢売ります
第16章 淫らな紋章:溺れる罪
目が覚めた。
私のマンションの部屋。いつもの景色。

さっきのは・・・夢?

生々しい絶頂の余韻で身体がだるい。陰部にもじんわりと挿入の感触が残っている。
何・・・あれ・・・。

咄嗟に腹部を確認してしまう。
何もない。淫紋は刻まれていなかった。

まさか、あれが、ユメノが言っていた「欲望に沿った夢」?
あんなにリアルなの?

胸がドキドキと、まだ高鳴っている。
夢とはいえ、今までのどんな性体験よりも凄まじい快感だったことは、はっきりと覚えている。

正直、私は27歳という年齢に比して、性体験が人よりも少ないほうだと思う。性に関する一種の嫌悪感というか、禁忌のようなものがあるのが原因だと思う。

男性は、常に女性を性的に食い物にしようとしている。
女性は、それから身を守らねばならない。

ずっとそう思って生きてきた。これまでに3人の男性と付き合ってきて、もちろん何度かセックスの体験はあるが、自分に向けられた性欲がなんとも居心地が悪く、関係は長続きしなかった。

でも、今見た夢の中の性体験は、これまでの全てを超えたものだった。
正確にはセックスとは言えず、セルフプレジャーではあったものの、あそこまでの感覚を味わうことは決してできなかった。

枕の下からカードを取り出す。
「本当に、このカードの力なの?」
カードには、蠱惑的な目をした半裸の女性が艶めかしく踊る姿が描かれていた。
「あ・・・」
その女性の腹部には夢で見た、あの「淫紋」が刻まれていた。
やっぱり、あの夢は本当にこのカードのもたらしたもの・・・?。

一体このカードは何なのかしら。
じっと、そのカードを見つめていると、不思議な気持ちになる。なにか大事なことに気づきそうで気づかない、そんな気持ちだ。

今回の露出魔事件からは、特にモルフェについて何か決定的な証拠を見つけることはできなかった。河野の言ったことは単なる言い訳として処理されようとしていた。

しかし、私はあのカードの力を知ってしまった。
あれだけリアルな淫夢を見たら、触発されて、もしくは現実と夢の区別がつかなくなって犯行に及ぶこともありうるのではないだろうか?
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