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淫夢売ります
第17章 淫らな紋章:堕ちる罪
「ああ、桜井主任?どうしたんですか?体調不良と聞きましたが」
「吉井くん、なんでもいいから口実を付けて、この間行ったモルフェまで来てくれない?」
そう、私の最終手段は、吉井くんにカードを保持しておいてもらうことだった。ついでに、寝ないように見ていてもらいたい。
「え?どういうことですか?主任、もしかして休暇取って例の店調べてんですか?」
吉井くんはなにか勘違いをしているようだったが、これに乗ってしまおう。
「そう、そうなの。どうしても怪しいけど、調べようにも捜査方針と違っちゃうから・・・ただ、一つ、証拠っぽいの見つけたんだの。でも、決め手がなくて・・・」
電話口で吉井くんが悩んでいる様子を感じる。そりゃそうだ。職場を抜け出して来いというのはそもそもが無理なお願いだ。

でも、お願い!あなたが来てくれないと・・・。

「分かりました。ちょうど聞き込みが入っていたので、適当に言い繕ってそっちを先にします」
ある程度時間に融通が利く刑事で良かった・・・。
私は早く来てほしいと念を押すと、ぐるぐる歩いた挙げ句に戻ってきた例のカフェの入口近くの壁にもたれるように立つ。少しでも座ると意識が落ちそうだ。

ただ、こうして壁にもたれているとはいえ、立っているにも関わらず、激しい睡魔が襲ってくる。ややもするとまぶたが吸い寄せられるようにくっついていく。

吉井くん、お願い、早く来て!

何度か頭を振って私は睡魔を追い払おうとする。脚に力が入らない・・・。
早く、早く・・・・早くしないと・・・私の淫紋が・・・
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