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淫夢売ります
第24章 Deep Sea:セイレーン
☆☆☆
「なーんだ・・・残念」
ぽいっとユメノはカードを放り投げた。モルフェで用いているアスモデウスのカードは背面が青いものと赤いもの、二枚で一対だ。
今、ユメノが投げたカードは背面が赤。だけれど、その赤は他のカードのそれよりもくすんでいる。
「まさかカード破いちゃうなんて・・・」
それにしても、真人くん・・・。最後の最後で時間に気がついて、そのまま地下に走っても間に合わないと悟るやいなや、躊躇なくガラス戸から崖にダイブして強引に意識を現実に引き戻す・・・なんて。
たしかにそうすれば直接カードに手をかけ、カードの魔力から逃れることができる、いや、佳奈さんを逃がすことができる、って考えたのね。
随分乱暴な賭けをしたものね。よく思いついたわね・・・。
まあ、いいわ、ここまでで随分たくさんの欲望をいただけたもの・・・。
ぺろりとユメノは舌なめずりをした。
ただ・・・それにしても。
ちらっと後ろを振り向くと、バックヤードとの堺にカグラが立っていた。私が見るとわざとらしく顔をそらす。
「鐘の音・・・あなたの仕業よね?」
「さあ・・・なんのことかな?」
そらとぼける。カグラには感情がないので、いまいち何を考えているかつかみにくいが、概ね私に罪を犯させないようにとか、そういうことだろう。
あの真人とい男性が選んだカードは『セイレーン』のカード。耽溺を表している。
そして、佳奈が選んだのは『人魚姫』のカード。命を懸けた救出を表す。
人魚姫は悪い魔法使いに囚われ、薬を飲まされ歌えなくなる。
それでも、王子様はちゃんと助けに行ったのね。
まあ、カグラが助力したにしても、最後は自分の力で耽溺の誘惑を振りほどき、お姫様を救ったってので、80点はあげちゃえるかしら。
甘ったるい欲望と、ちょっとしたスリルを味わえたとしたら、カード二枚の損失も、許せるというものだ。
自分が食事の邪魔をした割には、何故か機嫌が良いユメノの様子を、カグラは少し不思議に思って眺めていた。
「なーんだ・・・残念」
ぽいっとユメノはカードを放り投げた。モルフェで用いているアスモデウスのカードは背面が青いものと赤いもの、二枚で一対だ。
今、ユメノが投げたカードは背面が赤。だけれど、その赤は他のカードのそれよりもくすんでいる。
「まさかカード破いちゃうなんて・・・」
それにしても、真人くん・・・。最後の最後で時間に気がついて、そのまま地下に走っても間に合わないと悟るやいなや、躊躇なくガラス戸から崖にダイブして強引に意識を現実に引き戻す・・・なんて。
たしかにそうすれば直接カードに手をかけ、カードの魔力から逃れることができる、いや、佳奈さんを逃がすことができる、って考えたのね。
随分乱暴な賭けをしたものね。よく思いついたわね・・・。
まあ、いいわ、ここまでで随分たくさんの欲望をいただけたもの・・・。
ぺろりとユメノは舌なめずりをした。
ただ・・・それにしても。
ちらっと後ろを振り向くと、バックヤードとの堺にカグラが立っていた。私が見るとわざとらしく顔をそらす。
「鐘の音・・・あなたの仕業よね?」
「さあ・・・なんのことかな?」
そらとぼける。カグラには感情がないので、いまいち何を考えているかつかみにくいが、概ね私に罪を犯させないようにとか、そういうことだろう。
あの真人とい男性が選んだカードは『セイレーン』のカード。耽溺を表している。
そして、佳奈が選んだのは『人魚姫』のカード。命を懸けた救出を表す。
人魚姫は悪い魔法使いに囚われ、薬を飲まされ歌えなくなる。
それでも、王子様はちゃんと助けに行ったのね。
まあ、カグラが助力したにしても、最後は自分の力で耽溺の誘惑を振りほどき、お姫様を救ったってので、80点はあげちゃえるかしら。
甘ったるい欲望と、ちょっとしたスリルを味わえたとしたら、カード二枚の損失も、許せるというものだ。
自分が食事の邪魔をした割には、何故か機嫌が良いユメノの様子を、カグラは少し不思議に思って眺めていた。