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淫夢売ります
第36章 鎖とドレス:軋む檻
☆☆☆

ピピピピピ・・・・
 ピピピピピ・・・・

鳥の鳴き声?
それとも、笛の音?

頭の中にそんな疑問が浮かんでくる。意識が次第に焦点を結びだし、今自分が目を閉じていることを悟る。

違う違う・・・目覚ましだ。

そっと目を開けた。
朝の日差しが降り注ぐワンルームのマンション。いつもの天井。
手を伸ばして目覚まし時計を止めて、起き上がる。

身体がなんとなくだるい気がするのは、昨日のお酒が残っているから・・・と考え初めて、首を振る。

咄嗟に股間に手を伸ばすと、パジャマの上からでもそれと分かるほど、ヌルヌルの液体で汚れていた。そっと、タオルケットをめくると、夜尿と勘違いするほどの多量の水シミが股間を中心に広がっていた。

パジャマの中に手を差し入れると、そこはありえないほどにぐちゃぐちゃに濡れていた。
遅れて漂ってくるむわっとした雄臭い精液の匂い。

それらは僕に、否応なく夢の中の出来事を思い出させた。
お尻をいじられて、めちゃくちゃにイかされて、最後には・・・。

あれは一体・・・。

そこでハッと気づいて、枕の下に手を入れる。指先に触れたものを引っ張り出すと、それはトランプよりも少し細長い、占い師が使うタロットカードのようなものだった。

図柄は、淡いピンク色のドレスを着た亜麻色の豊かな髪の女性が、横座りになっていて、カードの外から伸ばされた手を取ろうと手を伸ばしている、そんな感じだった。

『手を差し伸べられている座った乙女』
とでも表現するのがふさわしいのだろうか?

そのカードを見て、やっと昨晩のことを思い出した。確か、課長を送った後、道に迷って、『夢占モルフェ』という夢占い屋にたどり着いて、そこで、最後にカードを買ったんだ。

あの店主、ユメノと言ったか?
あの黒すぎる眼の持ち主が説明をしてくれた。

「これがあなたの欲望です」
「夢を見るときは、枕の下に敷くか、身につけて眠ってください」
と。

それから、家に帰って、シャワーを浴びて・・・このカードを枕の下に敷いて・・・寝た・・・?

欲望・・・あれが?僕の?
お尻の快感で絶頂することが?
そんな・・・馬鹿な・・・。
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