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淫夢売ります
第6章 くちなしの恋:あふれる想い
☆☆☆
ピピピピピ・・・
目覚ましが鳴る。薄っすらと目を開けると、見慣れた天井。
夢?
そう、夢だ・・・。体を起こして、まじまじと手足を見る。胸に触り、髪の毛をなぜる。
全部、いつもの自分だ。
女性である、東野漣。
未だ鳴り続けている目覚ましを止め、枕の下のカードを手に取る。
『短い髪の女性にキスをする人』
短い髪の女性はちーちゃん
ナイトのような人は私
このカードがもたらした夢。甘い、甘い、夢。
それが夢であることが痛いくらいに胸を差す。
涙が溢れる。
楽しく、語り合った将来。
交わった身体。
感じた体温。
全部、この世界にはない。
夢の中だけ。
それは、夢を見る前よりも、何百倍も残酷な事実だった。
耐えきれず、私は嗚咽する。いつまでも、いつまでも、胸の痛みは消えなかった。
☆☆☆
数日後、私はモルフェを訪ねていた。
「どうなさいました?」
前と同じ席にユメノさんがいる。
私はカードを差し出した。
「これは、お返しします」
ユメノさんは顔を曇らせた。
「お気に召しませんでしたか?」
私は頭を振った。
「この上ない・・・良い夢でした。でも、これがあると、現実がもっとつらくなるから・・・」
だから、と、私は黒いクロスのテーブルの上にカードを置く。
ユメノさんは白い指でカードを取り上げると、表をこちらに見せた。
「うちのカードは夢を媒介するだけではないんですよ。
それぞれに意味があります。
このカードの意味をお知りになりたくないですか?」
なんと答えたら良いかと考えあぐねているのを諾と受け取ったのか、ユメノさんは言った。
「このカードの意味は『勇気』です。
事情はわかりませんが、これをあなたが選んだということは、今、あなたが『勇気』を必要としたということではないでしょうか。
勇気は、闇雲に突っ込むことではありません。自分のわがままを通すことでもね。
でも、本当は言ったほうが良かったのに、言わないで過ごしたら、きっと、悔いると思うのです。あなたも・・・多分、お相手も・・・。」
ピピピピピ・・・
目覚ましが鳴る。薄っすらと目を開けると、見慣れた天井。
夢?
そう、夢だ・・・。体を起こして、まじまじと手足を見る。胸に触り、髪の毛をなぜる。
全部、いつもの自分だ。
女性である、東野漣。
未だ鳴り続けている目覚ましを止め、枕の下のカードを手に取る。
『短い髪の女性にキスをする人』
短い髪の女性はちーちゃん
ナイトのような人は私
このカードがもたらした夢。甘い、甘い、夢。
それが夢であることが痛いくらいに胸を差す。
涙が溢れる。
楽しく、語り合った将来。
交わった身体。
感じた体温。
全部、この世界にはない。
夢の中だけ。
それは、夢を見る前よりも、何百倍も残酷な事実だった。
耐えきれず、私は嗚咽する。いつまでも、いつまでも、胸の痛みは消えなかった。
☆☆☆
数日後、私はモルフェを訪ねていた。
「どうなさいました?」
前と同じ席にユメノさんがいる。
私はカードを差し出した。
「これは、お返しします」
ユメノさんは顔を曇らせた。
「お気に召しませんでしたか?」
私は頭を振った。
「この上ない・・・良い夢でした。でも、これがあると、現実がもっとつらくなるから・・・」
だから、と、私は黒いクロスのテーブルの上にカードを置く。
ユメノさんは白い指でカードを取り上げると、表をこちらに見せた。
「うちのカードは夢を媒介するだけではないんですよ。
それぞれに意味があります。
このカードの意味をお知りになりたくないですか?」
なんと答えたら良いかと考えあぐねているのを諾と受け取ったのか、ユメノさんは言った。
「このカードの意味は『勇気』です。
事情はわかりませんが、これをあなたが選んだということは、今、あなたが『勇気』を必要としたということではないでしょうか。
勇気は、闇雲に突っ込むことではありません。自分のわがままを通すことでもね。
でも、本当は言ったほうが良かったのに、言わないで過ごしたら、きっと、悔いると思うのです。あなたも・・・多分、お相手も・・・。」