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第43章 淫らな選択：開かれる心

そんな混乱にも似た気持ちは、すぐにゾワゾワとした感触に塗りつぶされていく。男性の手のひらが太ももの内側を撫でているのだ。ぎゅっと足を閉じようとするが、強い力でそれは掻き分けられてしまう。胸を揉みしだかれ、下は手のひらが徐々に鼠径部に迫ってくるのを感じる。頭が混乱して、どちらにどう対応していいかわからなくなる。

「息が・・・荒くなっていますよ」

唐突に左の耳に低く、淫猥な声が流し込まれる。杉村の声だ。
真後ろにいるのは彼ではないのだということに気づいてなおさら動揺が走る。右側、真後ろ、そして、左後ろに杉村。

一体、何人の人・・・何人の痴漢に私は囲まれてしまっているの？

右からも、左からも、そして背後からも、ギラギラとした男たちの欲望を感じる。服越しでも熱い体温、じっとりと湿った皮膚の感触、そして、なによりもむせ返るような男の匂い。私を性の道具としてしか見ていない男たち。そのぬめるような淫欲の檻、生暖かいそれに私はいつの間にかすっかり囚われてしまっていたのだ。

そして、指摘されて初めて気がついた。
私の呼気は荒く、そして、熱くなっていた。

身体の中が燃えるように熱い。背中につつっと汗が伝い、項にも滲んでいた。スカートの中の男性の手が私の女の部分に触れ始める。

ん・・・あっ・・・♡

親指が、蟻の戸渡りのあたりをくすぐるようにこする。薄い下着越しの刺激はこれまでの何よりも強烈に私の身体を沸騰させていく。

するりと、男性の指が私のクレヴァスを二本の指でぐにぐにと撫で始めた。誰にも触らせたことなどないそこは、撫でられるほどに熱く濡れていく。

「・・・んっ・・・」

とうとう、声が出始める。その声を捉えて、杉村がまた囁いてきた。

「声・・・出てますよ」

やめて・・・っ！

杉村の口元は、耳にふれんばかりのところにある。彼の吐息が耳にかかり、その生暖かな刺激がまた、私の背筋をゾクゾクさせていく。

いっ！

左側、ブラウスの裾をめくりあげ、手が入ってきた。お腹のあたりをさわさわと触られる。

「ふふ・・・やっぱりしっとりして、触り心地がいい・・・。お腹・・・お臍・・・ね？どうです・・・痴漢に触られる気持ちは」