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淫夢売ります
第8章 You’re My Hero:奈落の底から
そんなとき、「夢占モルフェ」の話を聞いた。サークルの後輩、東野という女性に京子の事を話したら、「夢に詳しい人がいる」ということで紹介された。

「田島先輩の求めているものとは違うかも知れないけど、なにか教えてくれると思う」
という東野の言葉にすがる思いで俺はモルフェにやってきた。

話し通りの店構えで、怪しいことこの上ないが、女占い師のユメノという人は外見に反して気さくな印象だった。
占いでも、夢を買いに来たわけでもない、と言ったらちょっと怪訝な顔をされた。

俺は京子の現状を話した。ユメノは少し迷う素振りを見せたが、俺の顔をじっと見つめて言った。
「それがあなたの欲望なら・・・」
その目が深い深い闇色だったのに、俺はびっくりした。

ユメノが問題を解決するために要求してきたのは50万円という、俺からすると途方も無い額の金だった。

なんとか、貯金をかき集め、更にバイト先に前借りもして払った。占い師に払うから貸してくれとは、とてもじゃないが親には言えない。

それで得たのが二枚のカードだった。
一枚が裏が青
もう一枚は赤だ
表には同じ図案が描かれている。
天から降りてきた男性が手を差し伸べ、地上で手を伸ばす女性に口づけをしている。

ユメノが言うには「救済」の意味を持つカードだそうだ。

「青い方を京子さんに、赤い方をあなたが持ってください。
 そうすれば、京子さんの夢に入り込むことができるはずです。」

京子が見ている悪夢に入り込み、そこから救い出すこと。
それがユメノが提示した解決策だった。

カードの魔力は本当だった。
カードを使うと、俺はいつも小学校2年生の教室にいる。
京子と同じクラスだった。このときの担任の加賀美が京子に性虐待をしていたのだ。

京子はずっと同じ夢を見続けている。
何の罪もない子どもだったのに、加賀美に弄ばれ、感じさせられ、何度も何度も犯される悪夢を。

あるときは指導室で、あるときは保健室で、あるときは屋上、トイレ、誰もいない教室、数限りなく凌辱され続けた。
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