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淫夢売ります
第9章 花と蜜:蠱惑の花
☆☆☆
あれ?ここはどこ?

目が覚めると私は見知らぬ建物の中にいた。エキゾチックな雰囲気。籐製の椅子や棚、今寝かされているベッドは木製のようだが、ふんわりしたマットとシーツが敷かれていて、寝心地はとても良かった。薫る風はカラッとしてて暖かく、柔らかな午後の日差しが差し込んできている。

身体には薄いタオルケットのようなものが掛けられているが、私自体は全裸だった。タオルケットを胸までたくし上げながら身体を起こす。

あれ?なんで私ってばこんなところにいるんだろう?
ええと・・・よく思い出してみよう。

記憶を探ろうとしたその時、バタンとドアが開き、誰かが入ってきた。
ああ、淳也だ。

「ああ、亜紀ちゃん・・・起きた?
 すっごいね、このホテル。どこもかしこも南国って感じで・・・。
 バリ島に来てよかったね!」

上機嫌だなあ・・。ああ、そうだ・・・思い出した。私達は新婚旅行でバリ島に来ているんだった。やっぱり新婚旅行なので、少し張り込んで、良いホテルにしたんだ。

こんなに無邪気に淳也が喜んでくれたなら、二人して一生懸命探した甲斐があったというものだ。私の旦那様はバーから飲み物を持ってきてくれたようだ。

「ありがとう、淳也。」

私は上掛けをたくし上げて胸元を隠しながら、淳也が持ってきてくれたトロピカルな色のカクテルに口をつける。清涼感のある甘めの味わいとツンと来るアルコールの感じがとてもよい。

「おいしい・・・」

淳也は瓶入りのビールをそのまま飲んでいる。あっちも美味しそうだ。

「なんか・・・この部屋いい匂いがするね」
言われれば、たしかに薄っすらと花のような匂いがどこからか漂ってきている。

淳也がビールをテーブルに置き、私の隣に座る。ふっと顔を近づけてくる。
「亜紀ちゃんのお口からもカクテルのいい匂いがする・・・」
そう言いながら、チュッとキスをしてくれた。
くすぐったくて温かい気持ちになる。

今度は、唇を押し付け、舌を絡ませてくる。
グニグニと淳也の舌が私の口の中を動き回る。私も思わず舌を出してしまうと、それを舐めあげ、吸われる。
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