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トライアングル
第4章 始まり…
10時を過ぎても朝霧は、姿を見せなかった。


欠勤の時も遅刻の時も連絡を欠かす事など無かった朝霧…


昨夜、別れ際に交わした会話…


まさか、あの後、龍二の所へ行ったのか?


不安を拭えず、薫は事務所を飛び出した。








龍二のマンション。 入り口のインターホンをいくら押しても応答がない。

里桜…

後悔の念に駈られていると自動ドアが開く、薫が部屋の前に着くのと同時に部屋の扉が開かれた。



「来ると思ってたよ」

薫は、入り口に立つ龍二を突き飛ばすように部屋に入る。


「里桜っ」


「声がでけぇ…アイツはまだ寝てるんだ 騒がしくするな」


飄々とした龍二の態度に怒りが込み上げる。


「里桜に 何をしたんだっ」


龍二の胸ぐらを掴み睨み付ける。


「お前、バカだろ? 男と女がする事なんか決まってるだろ」

「龍二っ」

薫は、龍二を殴り付けると寝室のドアを開ける…


ソコには、両腕を縛られ裸のまま眠る里桜の姿があった。


「里桜…里桜…」


里桜の身体に自分の羽織っていたジャケットをかけて、縛られている腕をほどく…

「里桜…今、連れて帰ってあげるからね」

ゆっくり身体を抱き起こすと里桜が気がついた。


「センセ…?」

「ごめんね。もぅ…何も心配いらないから」


里桜を抱き締めたまま、入り口に立つ龍二に告げた。


「これは、犯罪です。いくら貴方でも、許せる事と許せない事があります。」


その言葉に、龍二はニヤリと笑うだけだった。







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