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第1章 本編

赤コーナー、FEMLING　ハードコア・ヘビー級チャンピオンー
　八重樫不二子…！

　八重樫不二子がリングウェアの肩ヒモを両手で整えながら、リング中央に
進み出た。鮮やかな白いカラーにブルーのラインが入ったショートスパッツタイプのリングウェアは、彼女の肢体をキツく
包み込んでいる。かつては中肉中背の均整が取れた肢体で、スピード・テクニック
を武器に勝負するファイターだったが、愛も変わらず衰えないスタイルだったが。
　更に熟れた女としての艶肉が絡み付いたその体は、男好きするグラマラスな
ボディラインも作り出していた。そして今でも鍛えている身体は、パワーファイター
としての筋肉を艶肉の下にまとっている。
　現役時代は俊敏な豹に例えられていたが、今は、より力強い猛虎としての
イメージを見る者に与えていた。
　顔付きは全く変っていない。ただ、目の奥の落ちついた輝きだけが彼女が
歩んできた、リングの上での、女帝としての戦歴を伝えている。
ごく抑え目なナチュラルメイクの中、口元を彩る真紅のルージュが鮮烈な
印象を与えていた。
　王者は落ちついた表情のまま、対戦相手に続いて、レフリーのチェックを受ける。
衣装のきつさが意図的に高い所為で、彼女が動く度、胸元のカップから
はみ出た双乳がまろやかに振動した。
　不二子は、むっちりと自己主張する胸を更に誇示する様に張り上げた。
くびれた腰には、金色のチャンピオンベルトが鈍い輝きを放っている。