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12歳年下の彼と恋のキューピッドをする話
第4章 梅雨は紫陽花

地味キャラの小林君の変身ぶりは
かなりの物だったんだけど、
元が元からいい葵ちゃんの
キラキラぶりもかなりの物だ。

そのお互いの見慣れない姿に
微妙な…距離感になっている
2人を車の後部座席に座らせて。

9時過ぎに…垂水駅を出発した。
目的地へは…車で姫路方向に
1時間掛からない位…で着くらしい。

神戸市内の紫陽花の名所だったら、
垂水からすぐ近い場所なら
須磨離宮公園が有名だし。
その他にも森林植物園や
六甲高山植物園。
布引ハーブ園も…紫陽花の名所だ。

市内にも良い場所があるのに
どこに向かってるんだろう…。

行先も勿論気になるのだが、
巴はチラッと…挨拶も
そこそこに…会話らしい会話も
無さそうな後部座席の2人の様子を
ルームミラーで確認した。
チラッと相手を見ては、
恥ずかしそうにしてる感じで。

『以心伝心ゲームでもしましょうか?』

そうハンドルを握っている彼が
移動中の車の中でも出来る
以心伝心ゲームをしようと言って来て。

以心伝心ゲームと言うのは、
出題者が問題を決めて
全員の回答が一致しそうな
問題を考える…と言う物…。

『じゃあ、まず僕が問題を出しますね?
もし、自分に付き合ってる人が居るとして…
その人と、巴さんは僕とですけど
デートで行きたいなって場所はどこですか?』

神戸市内でと…彼が付け加えて
そのままカウントダウンされてしまう。

『はい、シンキングタイム終了~
お答えは、せーので』

せーのと彼が声を掛けてくれて

『須磨シーワールドで』
『須磨シーです』
「須磨シーワールドに…行きたいな…」

『あははははっ、
僕も須磨シー一択ですよ。
今は…神戸の人、
全員そう思ってるだろうなって
思って…考えてみたんですけど……
見事に回答が一致しましたね…?』

彼の以心伝心ゲームは
その後も…続いて。
その相手と…初めての夜を過ごすなら
どんな場所が良いかとか。
そんな質問になって行って。

夜景がきれいなホテルで…
これまた3人に答えは一致して。

私は…港斗君と付き合う事になった
あの…ホテルの名前を言いそうに
なってしまってたんだけど。
具体的な名前じゃなくて、
どんな所かと彼が答えを制限したので。

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