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12歳年下の彼と恋のキューピッドをする話
第4章 梅雨は紫陽花

『お昼ですし、適当にこの辺の
良い感じの店で食べませんかね?』

と、彼が連れて来てくれた場所は
明石タコで有名な、明石市にある
魚の棚商店街。地元の人には
うおんたなと呼ばれている商店街だ。

最寄り駅の明石駅からは徒歩5分程、
全長350メートルのアーケードに
鮮魚や海産物を扱うお店を中心に
お寿司屋さんや、千ベロや
食べ歩きを楽しめるお店が110軒
そのエリアに密集して軒を連ねている。

明石と言えばの明石タコを
柔らかく煮付けたタコの煮物。
そして明石焼きのお店もある。

この魚の棚にもいくつか
明石焼きのお店があるし…。

『何、食べますか?』

お店に入るかと言われたけど
色々と美味しそうな物が
見えて食べ歩きをしたくなったので。

明石焼きを食べたり
イイダコの中にウズラの卵が
入ってるのを食べたり、
揚げたての天ぷらを食べたりして。
お腹も一杯になって、
魚の棚商店街を満喫した。

明石を出ると…車で20分程移動して
神戸の紫陽花の名所である
須磨離宮公園に着いた。

須磨離宮公園は…バラ園も有名だが
6月には紫陽花と花しょうぶも楽しめる。
海外の宮殿にある噴水のある広場を
噴水を挟んであっち側とこっち側に
別れて歩いていたんだけども。

途中で小雨が降って来たので、
2人に持っていた折り畳み傘を貸して。
私と彼も1つの傘で相合傘をする。

『雨…降ってる方が…、
紫陽花は綺麗に見えますね…
僕達は…菖蒲見に行ってきますね』

そう広い公園内で別行動をする事にして、
彼と一緒に噴水の広場から歩いて
花しょうぶ園の方向へと移動する。

「あの2人…どんな話してるんだろう?」

こっちが何故かソワソワとしてしまって
隣にいる港斗君の服をぎゅっと
巴が掴んでグイグイと引っ張った。

『まぁまぁ巴さん、まだ
こんな時間ですし、慌てない慌てないですよ』

そう12歳年下の彼に
落ち着く様に言われてしまって。

結局…別行動をしてるだけで
何か…進展してるのかは…
適度に距離があるから…こっちからは
どんな会話をしてるか分からないし…。

『それに…お互いに好意持ってるんですし、
そうなるのも…時間の問題ですって…』

「それはそう…なんだけど…っ…」



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