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きのうの夜は
第5章 天川村
その映画とは『天河伝説殺人事件』という映画だった。
監督は市川崑で原作は内田康夫だった。
私は、その映画を観ていたのだ。
そして、その映画の舞台でロケ地だったのが“天川村”だったのだ。
その後、私はその映画に影響され、天川村の本を読み漁った。
本を読めば読む程天川村への熱い思いは募って行った。
いつか機会があれば行ってみたいと思うようになっていたのだ。
その事を思い出し吉村にこう言った。
「天川村に行きたいわ…」
「天川村?どこにあるんだ?」
「奈良県吉野郡よ…」
「奈良か?吉野と言ったら桜で有名だよな…」
「そうよ、奈良よ。吉野なら吉村さん知ってるでしょう?」
「吉野は知ってるけど天川村は初めて聞いた…」
「そうなの?」
私は、吉村は関西出身なので知っているかと思ったのだ。
「その天川村には温泉はあるんだよな?」
「ええ、もちろん、村営の共同浴場があるわ…」
「なら、天川村に行こうか?ついでに奈良周辺にでも行くか?」
「ええ、関西方面は私詳しくないから吉村さん教えてくれる?」
「ああ、構わないよ…」
私たちは吉野まで行って、そこから樫原神宮に行き、明日香村へ行くと言う旅行計画を立てた。
確か、夏季休暇は1週間くらいだと思った。